

林 煌純 先生
香道研究家
リンヤン先生との出会いは2016年12月冬至の日、あれから気がつけば、もう10年近い月日が経ちました。
彼女は、清朝の皇室武術である尹氏八卦掌の伝人であり、また、ご先祖は清朝の宮廷料理「厲家菜(レイカサイ)」の一族として、日中両国の宮廷文化を今に伝える特別な存在です。 その背景をもとに生まれた一水空の世界には、静けさの中に深い美と氣が息づいており、私自身もその魅力に心を打たれ、その所作に込められた深い精神性に大きな感銘を受けております。
呼吸、氣、そして静と動の調和――それはまさに香道の世界とも深く通じ合うものです。 「宮廷の雅」とは、単なる形式美ではなく、心を整え、氣を養い、自然と共にあることを大切にした、東洋の深い精神文化そのものです。 香道と一水空――いずれも目に見えぬ「氣」や「間」を重んじ、身体と心を整える道。 その響き合いを大切にしながら、これまで一緒に「宮廷の雅」をテーマにした食事会や文化会を重ね、日中皇室の友好の歴史を語り継いでまいりました。
これからも、時代と国境を超えて、一水空が世界に静かに、美しく広がっていくことを、心より願っております。